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自分でも何を言っているのかよくわからなくなってきました。
注意を上げておくので、それでもオールOK!という方のみ続きよりどうぞ。
○ものすごくパラレルです。
○ファンタジー的なシリアス的な何かです。
○戦闘シーン的な何かです。
○IAでG→Aです。
○唐突に始まって、唐突に終わる説明のない不親切設計です。
「勝負あったね」
穏やかな声とともに、倒れた浅草の首元に刃が突きつけられる。
光るそれは、少しでも浅草が動けば簡単に首筋を切り裂いてしまえるだろう。
浅草は視線だけを動かし、自分へ剣を突きつけている銀座を見上げた。
「動かないほうがいいよ。切れ味いいんだ、この剣」
にっこりと微笑む銀座の顔が狭い視界の中に入る。
背中に冷たい汗が流れるのを感じながらも、浅草は無理に笑みを作った。
「……で、殺さないのかよ」
詰まる声を叱咤し、出来るだけ普段通りに声を出す。怯えているなど、絶対に悟られたくなかった。
一瞬、きょとんとした銀座が、すぐに笑みを深めた。
「殺すわけないよ」
ま、怪我くらいならすぐ治せるけど、と不穏な言葉が付け加えられる。
「……なら、俺をどうする気だよ。人質の価値なんてないぜ」
すでに自分の中で認めていたことだから、浅草はさらりと事実を口にした。劣勢な今、国はわざわざ浅草を助けることはしないだろう。おそらくはどのような取引にも応じないはずだ。
そのことは銀座とてつかんでいる情報だろう。それなのに浅草を殺さないなど、疑問でしかなかった。
「人質だなんてまさかするわけないでしょ? 取引なんてするつもりないもの」
にこり、と銀座が微笑む。
「君は僕のものになるんだよ、浅草」
笑顔で当然のように告げられた言葉に、浅草は大きく目を見開いた。
首筋につけられた刃よりも、銀座の笑顔のほうが危険に思えた。
「な、に……?」
「誰にも渡さない。君は僕のものだ」
刃が離される。だが、逃げる間もなく襟元をつかまれ、乱暴に引き上げられた。
浅草は苦痛に顔を歪める。
吐息すら触れるほど間近に銀座の顔が迫った。
「ちょっとだけ痛いかもしれないけど、すぐだから我慢してね」
「え……?」
銀座の言葉の意味を理解する前に、銀座の手が胸に触れる。
耳元に銀座の唇が寄せられ。
何か囁く声を聞いたと思った瞬間、胸に鋭い痛みが走り、浅草の意識は闇に呑まれた。
「……浅草の生命反応が、途切れた……?」
慌てた様子で三田の前に大江戸とともに現れた新宿が告げた言葉を、三田は鸚鵡返しに呟く。
それぞれが情報収集などで単独行動をしていた。何かあったときのために、魔術に長けた新宿がそれぞれの髪から持ち主の状態が確認出来る媒体を作り出し、常に確認していてくれたのだ。
「どういう意味だ!!」
「どうって、そのままだっての! 浅草の反応だけが消えたんだって! 怪我をしてたり、命に関わる状態でも、普通は反応は残るの。でも……」
命がすでにない場合。存在しないものとして、魔術的に作り出した媒介自体が消滅する。
新宿の説明に、全身から血の気が引いた気がした。
つまり、は。
「んなことあってたまるか!!」
「三田さん、落ちついてください。新宿さん、すぐに浅草さんのもとへ跳べますか?」
新宿に食って掛かろうとした三田を大江戸が止める。
「あ、ああ……反応が途切れた場所はわかるから、そこまでなら追える、はず」
「では、そこへ。反応が途切れた場所で何かがあったのは確実と思います」
冷静な大江戸の言葉に、三田の頭も冷えていった。
何かがあった場所。今の自分たちでは、メトロからの襲撃としか考えられない。
こんなことになるなら、無理矢理にでも浅草に単独行動などさせるんじゃなかった。嫌がられようがなにしようが自分がついていくべきだった。
後悔が三田を苛む。だが、今は自分を責めて時間を無駄にしている場合ではない。
一刻も早く。浅草の安否を確認しなければならないのだ。
「わかった、移動するから俺の近くにきて」
新宿の言葉に従い、彼の傍へ寄る。
呪文の詠唱を聞きながら、三田は祈るように強く剣の収められているペンダントを握った。
移動の衝撃が消え、視界がクリアになる。
そこで見た光景に、三田は魔方陣が光を失うのを待たずに駆け出していた。
「浅草っ!!」
銀座に抱きかかえられている、明るい茶色の髪の人物。
間違えるはずがない。
ぐったりとしていて、浅草に意識がないのはすぐにわかった。
そして、銀座が彼に何かしたことも。
おそらくは、浅草がひとりでいるところを銀座に襲われたのだろう。そして、負けた。
三田からは銀座が抱きかかえている浅草は外傷がないように見える。ただ気絶しているだけのようだった。
だが、それだと浅草の生命反応が消えた理由がわからない。
だから、浅草は気絶しているわけではなく。銀座と戦って、そして。
「銀座ぁっ!! そいつを離せーっ!!」
迷うことなく媒介のペンダントから愛剣を取り出した。銀座へ向かい、真正面から重剣を振り下ろす。
銀座は、冷たい目で三田を一瞥しただけで動こうともしなかった。
剣圧だけでも人を切り裂けそうな勢いで銀座に突進する。
瞬間。
強力な電流が走ったかのように、視界が真っ白に染まった。
弾かれるような衝撃に、三田は後ろへと吹き飛ばされそうになる。数歩の後退で踏み止まれたのは、奇跡に近かった。
「馬鹿三田っ!! 突進してく奴があるか!!」
後ろから新宿の罵声が飛んできた。
「何言ってやがるっ!」
「それはこっちのセリフだっての!! お前、あとちょっと俺の相殺が遅かったら、今頃、消し炭だぞ!?」
「え……?」
「ふぅん……都営にしてはなかなか出来る子みたいだね」
驚く三田に被せるように銀座の言葉が響いた。その声は浮かべている笑顔とは裏腹に、ひどく冷たい。
だが、その銀座の言葉で彼が何か魔術的な攻撃を仕掛けてきたのだとわかった。
銀座はその場を動くことはおろか、体勢すら変わっていない。
三田は剣を構えたまま、銀座を睨みつけた。
「そいつを返せ」
「なぜ?」
すぐさま切り返される言葉。
その問いかけの答えなどひとつしかない。
「そいつはオレんのだっ!! てめぇなんかに髪一本だって渡すわけにはいかねぇんだよっ!!」
例え、浅草の命の火が消えていようとも。どんな状態だったとしても、彼を誰にも渡すつもりなどなかった。
「……へぇ」
低い声が銀座から漏れる。
ぞくり、と三田の背中に悪寒が走った。まるで周囲の気温も下がったように感じられる。
「僕から奪ったこの子を、ずっと独占してきたくせに……いまなお、独占しようとするの」
ぴり。
皮膚が粟立つ感覚がした。
三田ですら異変を感じられるくらい、ぴりぴりと空気が肌を刺すのがわかる。
「ちょ、マジでこれやばいって!」
新宿の切羽詰った声が背中を打った。
風が渦巻いているとか、炎が出現したとか、目に見える変化はない。だというのに、強烈な危機感が三田の神経に訴えてきていた。
「新宿っ!! 防げっ!!」
「無理だっての!! さっきはあっちが本気じゃなかったから、相殺出来たけど! 銀座が本気出したら、俺じゃ防げないっ!!」
ちっと三田は舌打ちをする。だけどそれだけだ。
おそらくこの場の誰よりも銀座の桁外れな魔力を感じているであろうに、新宿は逃げることなくこの場に留まっていてくれている。
そんな彼に文句などあるはずない。
冷たい琥珀の瞳が、三田を――三田だけを射る。
視線だけで背筋が凍る気がした。
それでも、三田は目を反らすことなく銀座を、そして動かない浅草を見る。
「君だけは、この世界から消してあげるよ」
真っ直ぐに自分を射る視線を受け止め、三田は剣を構え直した。
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解説的な言い訳。
たぶんメトロ皇国と都営帝国パロの世界観かと思われるけど、そうじゃなくてもいいかなって感じもしつつ、キャラ設定はそのままだったり。
あ、ちなみにA兄さんは生きてます。G様の魔術で仮死状態になってます。呼吸も鼓動も微弱だけどしていて、でも魔力で存在自体も隠してしまっている(感知出来なくしている)状態なので、Sさんの魔術では感知出来ず、存在がなくなった=死亡と判断されて反応が消滅となった模様。
Iは重剣師、Sは魔術師、Eは治癒師、A兄さんは魔法剣士です(EとAは描写ないけど)
G様は魔術も剣でも(剣以外もか)桁外れの能力の持ち主で、でも本気になることは普段ないです。……ないんだけどね。
というか、Eがいるだけで喋ってなくってごめんなさい……。
この話を歩いていて思いついたとき、「あ……。みーたんこれは完全に消される。あーあ……」と思いましたごめんなさい。だって「オレらのだ」ならともかく「オレのだ」ってお前。
パラレルんときのみーたんは本来とは違ってストレートにA兄さんへの好意を出していて、ほんわかというより心配になります。主に対G様的に。