神楽月のまったり日記。
取扱いジャンルやその他もろもろを萌えの赴くままにつらつらと。
ネタバレ考慮なし注意。
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開業記念日おめでとうございます!銀座様!
一日遅れのお祝いですみません!笑顔で反省室行きを命じられそうです……。
ともあれ!銀座様おめでとう!っていうことで、続きにGAなどをしたためてみました!
帰省中の電車の中からなのでワンクッション出来なくてすみません。
少しでもクッションなるように下げておきますので、大丈夫な方のみ御覧下さい。
「おめでとう」
「は?」
「だから、おめでとう。開業記念日だろ、今日」
わざわざ探して祝いの言葉を投げたというのに、その相手に笑顔なのに不可解だという表情を器用にやってのけられ、浅草は僅かに眉を寄せた。
「……へぇ。君が個人的に僕の開業日を祝ってくれるなんてね」
表情ばかりは笑顔と表現するものだが、銀座の目が笑っていないことに浅草は気づいている。
今まで『都営の筆頭』として祝いの意を示したことはあっても、『浅草個人』として銀座に言葉でも態度でも開業祝いを表したことはなかった。
自分たちの関係を考えれば、銀座が不可解に思うことも当たり前といえば当たり前なのだ。
浅草自身、なぜ今年は普段なら出来るかぎり会いたくない相手を探してまで言葉をかけたかったのかわからない。けれど、そうしたかったのだ。
日本で。否。東洋で初たる地下鉄道を祝いたいと思った。
ただそれだけのことだ。
「……だって、お前が走り始めなきゃ、俺は今『ここに』存在していなかった。お前の後輩たちも、俺の、後輩たちも誰ひとりとして存在していなかっただろ? 俺はここに在れることに感謝してるし、あいつらがいてくれることに感謝してる。だから」
今日ばかりは素直に思っていることを言葉にする。 銀座が僅かに目を見開く。だが、すぐに視線を伏せた。
その口元が小さく笑みを浮かべていることには、どちらも気づいていない。
「そう。じゃあ、今日は素直にその言葉を受け取っておこうかな」
顔を上げた銀座が浅草を見てにっこりと微笑んだ。
「そうしといて」
浅草も笑みを浮かべて返す。
「じゃ、それだけだから」
なんとなく満足した気持ちになったのを感じながら、浅草は用事は終わったと片手を上げて踵を返した。
「浅草」
その背中に声がかかる。
浅草が驚いて振り返るより早く腕をつかまれた。
「銀座……?」
間近で微笑む顔に、恐る恐る問うように名前を呼ぶ。
浅草には嫌な予感しかしなかった。
「で。プレゼントは?」
にっこりと。言われた言葉に浅草は目を丸くする。
「は?」
「だから、プレゼント。まさか、何もないなんてことはないよね? あんなにも僕に感謝してるって言いながら、まさか手ぶらなんてことありえないよね?」
微笑む銀座に、浅草は背筋が凍る思いがした。
今までの和やかな空気が確実に一変した。
「いや、その……」
言い淀みつつもなんとか逃げ出せないかと必死で考える。無意識に引ける身体は、いつの間にか僅かな動きすら許せないとでも言うようにしっかりと捉えられていた。
ただ今日になって言葉だけでも伝えられればと、思い立っただけなのだ。プレゼントなど用意していないし、そもそも考えもしなかった。
「もしかして、ない、とか?」
優しげな微笑みとは裏腹に、その目は獲物を追い詰めた肉食獣のような輝きを放っている。
「……あ、うぅ……」
なんとか切り抜けようとするも、追い詰められた浅草はまったく思考が働かなくなっていた。
「浅草?」
答えを促す声色は、確実に命令以外のなにものでもない。
言いたくない。言ったが最後、ひどい結末しか見えない。
けれど、言わずにこの場を切り抜けられる手段はまったく浮かんではこなかった。
「…………ないです」
「ん? 何? ちゃんと言ってくれないとわからないよ」
わざとらしく聞き返してくる銀座に、浅草は悟り、同時に諦める。
何があってもこの状況を逃れられることはない。なぜならば、銀座が逃がす気がないからだ。
「……だから、プレゼントはないって! 急なことで用意なんて出来なかったんだよ!」
プレゼントという考えまで至らなかったことはさすがに伏せ、浅草は半ば自棄になってさけぶように答える。
銀座がひどく嬉しそうに笑って。浅草にはそれがとても恐ろしいものにしか見えなかった。
「ふぅん。なら、プレゼントは君自身ってことでいいのかな? 君は君しか持っていないようだしね」
浅草の答えを待たずに銀座が浅草の身体を引き寄せる。
顎を指で捉えられ上向かされると、浅草は諦めて目を固く閉じた。
すぐに唇が塞がれる。
ただ意外にも。触れる唇は思いのほか優しいものだった。
一日遅れのお祝いですみません!笑顔で反省室行きを命じられそうです……。
ともあれ!銀座様おめでとう!っていうことで、続きにGAなどをしたためてみました!
帰省中の電車の中からなのでワンクッション出来なくてすみません。
少しでもクッションなるように下げておきますので、大丈夫な方のみ御覧下さい。
「おめでとう」
「は?」
「だから、おめでとう。開業記念日だろ、今日」
わざわざ探して祝いの言葉を投げたというのに、その相手に笑顔なのに不可解だという表情を器用にやってのけられ、浅草は僅かに眉を寄せた。
「……へぇ。君が個人的に僕の開業日を祝ってくれるなんてね」
表情ばかりは笑顔と表現するものだが、銀座の目が笑っていないことに浅草は気づいている。
今まで『都営の筆頭』として祝いの意を示したことはあっても、『浅草個人』として銀座に言葉でも態度でも開業祝いを表したことはなかった。
自分たちの関係を考えれば、銀座が不可解に思うことも当たり前といえば当たり前なのだ。
浅草自身、なぜ今年は普段なら出来るかぎり会いたくない相手を探してまで言葉をかけたかったのかわからない。けれど、そうしたかったのだ。
日本で。否。東洋で初たる地下鉄道を祝いたいと思った。
ただそれだけのことだ。
「……だって、お前が走り始めなきゃ、俺は今『ここに』存在していなかった。お前の後輩たちも、俺の、後輩たちも誰ひとりとして存在していなかっただろ? 俺はここに在れることに感謝してるし、あいつらがいてくれることに感謝してる。だから」
今日ばかりは素直に思っていることを言葉にする。 銀座が僅かに目を見開く。だが、すぐに視線を伏せた。
その口元が小さく笑みを浮かべていることには、どちらも気づいていない。
「そう。じゃあ、今日は素直にその言葉を受け取っておこうかな」
顔を上げた銀座が浅草を見てにっこりと微笑んだ。
「そうしといて」
浅草も笑みを浮かべて返す。
「じゃ、それだけだから」
なんとなく満足した気持ちになったのを感じながら、浅草は用事は終わったと片手を上げて踵を返した。
「浅草」
その背中に声がかかる。
浅草が驚いて振り返るより早く腕をつかまれた。
「銀座……?」
間近で微笑む顔に、恐る恐る問うように名前を呼ぶ。
浅草には嫌な予感しかしなかった。
「で。プレゼントは?」
にっこりと。言われた言葉に浅草は目を丸くする。
「は?」
「だから、プレゼント。まさか、何もないなんてことはないよね? あんなにも僕に感謝してるって言いながら、まさか手ぶらなんてことありえないよね?」
微笑む銀座に、浅草は背筋が凍る思いがした。
今までの和やかな空気が確実に一変した。
「いや、その……」
言い淀みつつもなんとか逃げ出せないかと必死で考える。無意識に引ける身体は、いつの間にか僅かな動きすら許せないとでも言うようにしっかりと捉えられていた。
ただ今日になって言葉だけでも伝えられればと、思い立っただけなのだ。プレゼントなど用意していないし、そもそも考えもしなかった。
「もしかして、ない、とか?」
優しげな微笑みとは裏腹に、その目は獲物を追い詰めた肉食獣のような輝きを放っている。
「……あ、うぅ……」
なんとか切り抜けようとするも、追い詰められた浅草はまったく思考が働かなくなっていた。
「浅草?」
答えを促す声色は、確実に命令以外のなにものでもない。
言いたくない。言ったが最後、ひどい結末しか見えない。
けれど、言わずにこの場を切り抜けられる手段はまったく浮かんではこなかった。
「…………ないです」
「ん? 何? ちゃんと言ってくれないとわからないよ」
わざとらしく聞き返してくる銀座に、浅草は悟り、同時に諦める。
何があってもこの状況を逃れられることはない。なぜならば、銀座が逃がす気がないからだ。
「……だから、プレゼントはないって! 急なことで用意なんて出来なかったんだよ!」
プレゼントという考えまで至らなかったことはさすがに伏せ、浅草は半ば自棄になってさけぶように答える。
銀座がひどく嬉しそうに笑って。浅草にはそれがとても恐ろしいものにしか見えなかった。
「ふぅん。なら、プレゼントは君自身ってことでいいのかな? 君は君しか持っていないようだしね」
浅草の答えを待たずに銀座が浅草の身体を引き寄せる。
顎を指で捉えられ上向かされると、浅草は諦めて目を固く閉じた。
すぐに唇が塞がれる。
ただ意外にも。触れる唇は思いのほか優しいものだった。
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