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神楽月のまったり日記。 取扱いジャンルやその他もろもろを萌えの赴くままにつらつらと。 ネタバレ考慮なし注意。
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ひとりで勝手にたぎっていたら、何だか身内で大盛り上がりしたネタです。
懲りずに再びです。
特殊ですので、注意を読んで平気という方だけ続きよりどうぞ!


●ファンタジーパラレル風味
●メトロ皇国と都営帝国で戦争。
●都営帝国が侵略した。
●交流あった平和な時代に浅草と三田、東西、南北は交流があった。浅草と東西はとくに仲よかった。
●都営の4人は仲間だけれども、立場的には浅草が上。他3人は家臣的立場。
●細かく設定考えてないです。

●物語中盤くらいの話。
●IAです。裏設定NTですが今回はちらっとも出てきませんNT。
●都営帝国側の話です。

●しにねたです。大切なことなのでもう一度言います。しにねたです。


以上、平気な方は続きからどうぞ!


 自室へ戻った浅草は流れるような自然な動作で扉に鍵をかけた。
 無駄に装飾のついた上着も脱がずにベッドへと座る。
 そのまま無言で自分の顔を手のひらで覆った。
 声も漏らさず、動きもしない。
 否、動けなかった。
 会議の場でもたらされたのは『新宿率いる隊が全滅した』との報。
 条約を無視し都営帝国が一方的に攻め込んだことから始まったメトロ皇国との戦争は、初めこそ都営帝国が優位に立っていたが、今では劣勢に立たされつつあった。だが、まだ巻き返しが図れると思っていたのだ。
 その矢先の、新宿隊の全滅の報。
 それは浅草にとっても思いも寄らないことだった。
 新宿の隊が、彼が負けるなどとは思っていなかったのだ。
 新宿の遺体は誰も確認出来なかったとのことだったが、それでも浅草には彼が生きているとは思えなかった。
 戦争なのだ。命のやりとりなど当然で、誰がいつ命を落としてもおかしくはない。
 それでも浅草は新宿が負けるなどと思っていなかった。
 いや、そんな可能性になど気づかないふりをしていた。
 声に出すことも出来ずに、新宿へと謝る。
 彼が死んだのは自分の責任だ。
 上の命令に逆らえなかったとはいえ、実際にメトロ皇国へ戦を仕掛け、戦争を始めたのは他でもない自分で。
 大切な仲間たちをも巻き込み、新宿を死に追いやった。
 謝罪を口にすることなど、許されるわけがない。
 ましてや、泣くことなど。
 会議の場にいた三田と大江戸の顔を思い出す。
 動き出した流れはもう止められない。彼らすら、運命の糸のもと命を落とすかもしれない。
 今の劣勢を思えば、それは確実に訪れる未来のような気がした。
 自分だけでいいのに。
 浅草がいくらそう思っても、立場がそれを許しはしないことはいやというほどわかっていた。
 いくら浅草がかけがえのない仲間だと思っていても、公には三田も大江戸も家臣となる。浅草のもとまで敵が迫るのを許す状況では、すでに三田も大江戸もこの世にはいないということになる。
 これ以上死なせたくない、と思っても、すでに戦を止めることなど出来ないことはわかっていた。
 ふいに響いたノックの音に、びくっと浅草の肩が震える。
 誰にも会いたくなくて、会える状態でもなくて、浅草は返事はおろか動こうともしなかった。
 少し間を置き、またノックの音が響く。
 それでも浅草は動くことはなかった。
 何度かノックの音が続き、しばらくして途絶える。
「おいこら」
 間近で声が聞こえ、浅草は驚いて顔を上げた。
 目の前には眉間に皺を寄せた三田が立っており、浅草を見下ろしている。
「み、た……なんで?」
 扉には鍵をかけていたはずだ。何故三田が室内にいるのかわからずに、浅草は呆然と呟く。
「馬鹿。前にお前から合鍵もらってんだろうが」
 三田の言葉に、そういえばそうだった、と浅草は思い出した。
 いつだったか、遥か過去に思えるある日。三田にだけ自室の合鍵を渡していたのだ。
「あ、そっか」
 ぽつんと呟き、浅草は笑みを浮かべる。
「……お前、なんて顔してやがる」
 不機嫌そうな三田の表情に、浅草は首を傾げた。
 笑ったつもりだったのに果たして自分はどんな顔をしていたんだろう、と思った。
「泣けよ」
「え? 何言ってんの、三田ってば」
 浅草は突然言われた言葉の意味がわからずに首を傾げる。
「つらいときは泣けって言ってんだ」
 三田が跪いたかと思った瞬間、両頬を暖かいものに包まれた。
 浅草は少し遅れて、それが三田の手のひらだと気づく。
「な、に言って……」
 三田の言葉を笑い飛ばそうとしたが、それよりも早く頭を三田に抱き寄せられた。
「泣けって言ってんだよ」
「でも……」
「いいから無理に笑うな。立場なんて関係ねぇだろ」
 ぐっと強く頭を三田の胸へと押しつけられる。
 三田の気持ちも彼の優しさも嬉しかった。甘えさせてくれるまま、彼に身を委ねて泣いてしまえればどれだけいいだろう。
 けれど、浅草は緩みかけた気持ちを押さえ込んだ。
「ばっかだなぁ、みーたんは。俺、無理なんてしてないよ」
 ぐいっと三田の胸を押し返し、思い切り笑顔を浮かべる。
「泣くことなんて、何もないだろ? なに言っちゃってんだか、みーたんは」
 軽く見えるように気合を入れて笑みを作った。三田がものすごく不機嫌そうな不可解そうな顔になっていたが、気にせずに浅草は言葉を続ける。
「ほらほら、俺着替えるから。みーたんも着替えて来なよ! もうすぐ夕飯だろー? 食いっぱぐれちゃうよー?」
 適当なことを並べ立て、浅草は立ち上がり三田を扉の外へと追いやった。
「浅草っ!!」
「それとも、みーたんってば、俺の着替え見たいの? やらしー」
 けらけらと笑って見せれば、三田の眉間の皺が深くなる。
「馬鹿かっ!!」
「じゃあねー」
 怒鳴る三田にひらひらと手を振って、浅草は勢いよく扉を閉めた。
 大きな音を立てて扉が閉まる。
 手早く鍵をかけると、浅草は扉に額を当てた。
 馬鹿野郎、と怒鳴り声がしどんっと派手な音を立てて扉が鳴ったけれど、そのまま浅草は動かなかった。
 しばらくし、三田の気配が遠ざかるのを感じる。
 浅草は、ほっと安堵の息を吐いた。
「……ごめん、三田」
 誰も聞く者のいなくなった部屋で、小さく呟く。
 浅草の状態に気づいたのかどうかはわからなかったが、どちらにしろ三田は浅草を心配してくれたのだ。彼の気持ちは本当に嬉しかった。
 けれど、甘えるわけにはいかないのだ。
 大切な仲間たちを戦へと巻き込み、新宿を死なせた自分になど泣く資格などありはしない。
 自分だけ三田に甘えて、泣くなど許されるわけがない。
 扉に額をつけたまま、浅草は目を閉じた。

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浅草兄さんをぼろぼろに泣かせたい!と思って書き始めたのですが……泣きませんでした。
きっとずっと前線にいたのは新宿さんかなと。まぁ隊が全滅ってだけで本人がどうなっているか未確認なところが卑怯なフラグです。
浅草兄さんがつらいことにも傷ついたことにも気づいた……のか?なみーたん。気づいてるのか、気づいてないのか微妙なところですが、心配して気遣っていることだけは事実。しかし、浅草兄さんに押し切られてるあたりまだまだで、もうさ(笑)
パラレルだろうがみーたんは浅草兄さんには勝てないんだよな。

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