神楽月のまったり日記。
取扱いジャンルやその他もろもろを萌えの赴くままにつらつらと。
ネタバレ考慮なし注意。
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やっぱりしらみねさんちはいまだにネットが繋がらないため、またも携帯からですよ!クッションなくNTですよ!注意ですよ!NTですよ!!
「南北! 南北! ちょっと来いよ!」
暖かい休憩室で昼寝と決め込んでいた南北は、いつになく弾んだ東西の声にしぶしぶアイマスクをずらした。
目を開けると、開けた視界には満面の笑みを浮かべた東西がいる。
そんな顔反則だ、と思いつつも南北は眉を顰めた。
照れ隠しというのもある。けれど、東西がこんなにも笑顔全開でいる理由がわからなかったのだ。もし、自分以外の誰かが東西にこんな表情をさせているのなら、それは腹立たしいことだし。
「何?」
短く用件だけを聞く。
「いいから、来いって!」
南北の問いの答えとはとうてい思えないことを言って、東西がぐいっと南北の腕を引いた。
「ちょっと! 東西!! どこに行くのさっ!?」
引っ張られ、立ち上がりながら南北は叫ぶように、ドアへと向かっている東西へと問う。
すると、東西は振り返ってとびきりの笑顔を浮かべた。
どきっと。
大きく南北の胸が鳴る。
「外!」
とても楽しげに東西が告げた。
「……し、しょうがないなぁ」
さもしぶしぶだという様子を装って南北が承諾すると、東西がさらに嬉しそうな笑顔を浮かべる。
本当なら昼間とはいえ、こんなに寒いなかわざわざ休憩時間に外になんて出たくなどない。断固として拒否をしていただろう……東西以外の相手なら。
南北はコートにマフラーに帽子としっかり着込んで、東西に連れられるまま外へと出た。
東西が南北を連れていったのは、彼の沿線だった。駅を出てからしばらく歩き、南北にはどこかわからない場所へ出る。
無意識に繋いだままの手が、南北になんの不満も起こさせなかった。
小さな、散歩などをするための公園のような広場の一画で東西は足を止める。
「ほら」
嬉しそうな声につられ、南北は東西の示した先を見た。
少し見上げる程度の、低い大きくはない木。
そこには白い小さな花が幾重にも咲いていた。近くにいるせいか、仄かに香る甘い香りがこの花のものだと南北にもわかった。
「これ……」
「梅だ。今年、初めて咲いてるの見つけてさ。お前にも見せてやりたかったんだ」
はっと、南北は東西を見る。
嬉しそうな顔で彼は南北を見て笑った。
「……何それ」
そんな言葉しか出てこない。
それでも。彼が自分のことを思い出してくれたこと、考えてくれたこと、一緒に見たいと思ってくれたこと。すべてがとても嬉しくて。
「寒くても、外もいいだろう?」
「まぁね」
東西の言葉に珍しく素直に頷くと、東西がとても嬉しそうに笑った。
花はどうでもいいけど、こんな東西の笑顔を独り占め出来るなら、寒い外でもたまにはいいかもしれない。
「でな! あっちには木蓮もあるんだぜ!」
東西が言いながら南北の腕を引く。
彼の導く先には、幾本かの大きな花弁の紫の花をつけた木が見えた。
「へぇ、もくれん?」
南北には馴染みのない名前に疑問の色を混ぜると、東西が何やら説明をしてくれる。
南北のためだけに話してくれる東西の声を楽しみながら、南北は繋いだ手をぎゅっと握った。
まだ冷たい真冬の外気のなか、南北は暖かな春の日差しを感じていた。
「南北! 南北! ちょっと来いよ!」
暖かい休憩室で昼寝と決め込んでいた南北は、いつになく弾んだ東西の声にしぶしぶアイマスクをずらした。
目を開けると、開けた視界には満面の笑みを浮かべた東西がいる。
そんな顔反則だ、と思いつつも南北は眉を顰めた。
照れ隠しというのもある。けれど、東西がこんなにも笑顔全開でいる理由がわからなかったのだ。もし、自分以外の誰かが東西にこんな表情をさせているのなら、それは腹立たしいことだし。
「何?」
短く用件だけを聞く。
「いいから、来いって!」
南北の問いの答えとはとうてい思えないことを言って、東西がぐいっと南北の腕を引いた。
「ちょっと! 東西!! どこに行くのさっ!?」
引っ張られ、立ち上がりながら南北は叫ぶように、ドアへと向かっている東西へと問う。
すると、東西は振り返ってとびきりの笑顔を浮かべた。
どきっと。
大きく南北の胸が鳴る。
「外!」
とても楽しげに東西が告げた。
「……し、しょうがないなぁ」
さもしぶしぶだという様子を装って南北が承諾すると、東西がさらに嬉しそうな笑顔を浮かべる。
本当なら昼間とはいえ、こんなに寒いなかわざわざ休憩時間に外になんて出たくなどない。断固として拒否をしていただろう……東西以外の相手なら。
南北はコートにマフラーに帽子としっかり着込んで、東西に連れられるまま外へと出た。
東西が南北を連れていったのは、彼の沿線だった。駅を出てからしばらく歩き、南北にはどこかわからない場所へ出る。
無意識に繋いだままの手が、南北になんの不満も起こさせなかった。
小さな、散歩などをするための公園のような広場の一画で東西は足を止める。
「ほら」
嬉しそうな声につられ、南北は東西の示した先を見た。
少し見上げる程度の、低い大きくはない木。
そこには白い小さな花が幾重にも咲いていた。近くにいるせいか、仄かに香る甘い香りがこの花のものだと南北にもわかった。
「これ……」
「梅だ。今年、初めて咲いてるの見つけてさ。お前にも見せてやりたかったんだ」
はっと、南北は東西を見る。
嬉しそうな顔で彼は南北を見て笑った。
「……何それ」
そんな言葉しか出てこない。
それでも。彼が自分のことを思い出してくれたこと、考えてくれたこと、一緒に見たいと思ってくれたこと。すべてがとても嬉しくて。
「寒くても、外もいいだろう?」
「まぁね」
東西の言葉に珍しく素直に頷くと、東西がとても嬉しそうに笑った。
花はどうでもいいけど、こんな東西の笑顔を独り占め出来るなら、寒い外でもたまにはいいかもしれない。
「でな! あっちには木蓮もあるんだぜ!」
東西が言いながら南北の腕を引く。
彼の導く先には、幾本かの大きな花弁の紫の花をつけた木が見えた。
「へぇ、もくれん?」
南北には馴染みのない名前に疑問の色を混ぜると、東西が何やら説明をしてくれる。
南北のためだけに話してくれる東西の声を楽しみながら、南北は繋いだ手をぎゅっと握った。
まだ冷たい真冬の外気のなか、南北は暖かな春の日差しを感じていた。
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