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続きにお馬鹿な西武さんちの池袋さんと新宿さんなSSです。
暑いからね。脳みそちょっと沸いちゃったんだ。
池袋と新宿がだらだら(?)喋っているだけです。
前提として、池Yと新宿→東西があります。その上での話。
出て来るのは池袋と新宿だけですが。
続きからどうぞ!
【西武さんちのよもやま話】
「お前はずるい」
何の脈絡もなく言われ、池袋は眉を顰めた。
「なんの話だ」
ふたりきりでは無視するわけにもいけず、しょうがなく発言主の新宿に問い返す。
池袋には新宿にずるい呼ばわりされる覚えなどまったくないわけで、新宿からの明確な答えを待つしかない。
「ずるい。オレだって同じなのにお前だけなんて」
ずるい、と新宿が再度繰り返した。
二度目の発言もさらに不可解なだけで、池袋は溜め息を吐く。
さすがにここまで繰り返されては、何をもって「池袋はずるい」などと言い放つのかはっきりさせなくては収まりがつかない。
「もっとはっきり明確に発言の理由を言え。私が、何故ずるいのだ?」
新宿の前髪の奥に隠れた目を見据えながら再度問うと、新宿が不満げに唇を尖らせた。
「お前ばっかり手に入れやがって。どうやって営団を落としたかオレに教えろっ!」
「は?」
勢い良くテーブルを叩かれたところで、池袋としては目を丸くするしかない。
「同じ営団で、始めっから接続してんのも同じで、小さいときにいろいろ教えてやったりしたのも、懐いていたのも同じ……向こうに手のかかる後輩がいるのまで一緒なのに……なんで」
池袋が呆気に取られている間にも、新宿はぶつぶつと文句を並べ続けている。
「なんで、お前だけ落とせるんだっ!!」
思いっきり叫ばれ、さすがに新宿がなんのことを言っているのか薄々だが池袋にもわかった。
「お前は、もしかして私と有楽町が付き合っていることを、ずるいと言っているのか?」
「当然だ! 他に何がある!?」
池袋がまさかと思いつつ確認した事項を、新宿は思いっきり肯定した。
「ほとんど同じ境遇で、何でお前だけ付き合えるんだ……! 色恋ざたに鈍そうなのだって同じなのに!」
握りこぶし付きで新宿がまたぶつぶつと言い出す。はっきりとは見えないが、新宿の目は据わっているだろうと池袋には容易に想像出来た。
池袋と有楽町が付き合い出したのは、結構最近の話だ。
それなりに紆余曲折あって、自分の気持ちを認めて、有楽町への恋心と会長への崇拝する気持ちは、どちらかを選ばなくてはいけないものなのではなく、両方とも選んでもーー自分の中で持っていてもいいものだと気づけて。それでも素直に告白とはならなかったけれど、状況に後押しされる形で有楽町と両想いだとわかることが出来た。
池袋はとくに何か有楽町の気を引くようなことをした覚えも、言った覚えもない。どちらかと言えば嫌われてもおかしくはないことをしたと思わなくもないわけで、今になってよくよく考えてみると何故有楽町が池袋を選んでくれたのか不思議とまで思っている。
なので、新宿に「どうやって落としたか」などと問われても返答に窮するだけなのだ。
「いや……有楽町が好きになってくれたわけで……私が特別何をしたとか、は……」
「なんだそれは!? 惚気か!? 自慢か!?」
「そ、そういうわけでは……」
「東西は昔はあんなにいっつもあとをついてきていたのに……! 一緒にお昼寝だってして、大好きって言ってほっぺにキスもしてくれたのに……!」
本気で悔しそうに声を震わす新宿の言った内容の方に、池袋は目を丸くした。
「お前、それは……お前が、教えたのか?」
なんとなく恐る恐る聞くと、何故か胸を張って「当然だ!」と新宿が答えた。
思わず池袋は頭を抱えたくなる。
当然、東西の小さい頃の話だろうが、なんてことをさせていたのか。
「今じゃ、してくれないしさ……あんまり会えないし」
昔と違い、東西は今では多くの接続を持っていて、直通運転までしているのだから、それは仕方ないと思う。思うのだが、新宿は本気でしょんぼりしている。
あまりの新宿の落ち込むように、池袋は「当たり前だ」という言葉を呑み込み、溜め息だけですませてやった。
とりあえず新宿のために自分が有楽町へとっていた態度を思い返してみる。
だが、すぐにやめた。
特別何かした覚えがまったくなく、普通に仕事をして、たまに西武有楽町も一緒に昼食を食べたり、顔色が悪いときに叱って休憩室に押し込めたり、ホームで少し話したり、どれもこれも日常的に普通に接していただけだ。
ひとつだけ新宿と違うのは、相手と直通をしているので、ただ接続をしているよりも会う回数が多いことだろうか。
「……東西とやらと有楽町は違うのだ。営団だから、似た境遇だからといっても、同じ結果にはならんだろう」
溜め息混じりにそう言ってやると、新宿が非常に恨めしそうに池袋を見上げてきた。
「お前は付き合っているから言えるんだ……っ! ふたりでお茶しようが、休憩室に長い時間ふたりきりでいようが、何にもないオレの気持ちなんかわかってたまるか……! 目の前で無防備に寝られて、何度襲ってやろうと思ったことか! あのやろう、可愛い顔して寝やがって……! なんだアレは! 誘ってるのか……!?」
「黙れ。本気で黙れ」
何だか危険な空気を感じて、池袋は素早く制止する。
思いっきり声に力を込めたおかげか、新宿がちゃんと口をつぐんだ。それでも恨めしげに池袋を見るのは止めない。
「…………わかった。わかったからそんな顔をするな。今度、有楽町に東西のことを聞いてきてやる。それでいいだろう? あとは自分でなんとかしろ! ただし、絶対に寝込みを襲うようなことはするなよ……!? 絶対にだ! いいなっ!?」
何度も念を押すと、新宿がこくこくと頷いた。
相手の意志を無視して襲うような事態になれば、銀座が黙ってないだろう。銀座だけは絶対に敵に回してはいけない。それに、銀座だけでなく丸ノ内や、他のメトロたちも黙ってはいないはずだ。彼らの絆の強さはよく知っていた。
何よりも。
有楽町に合わせる顔がなくなる。それどころか、嫌われ、愛想を尽かされてしまうかもしれない。それは絶対に駄目だ。彼に嫌われる可能性は万にひとつも生じさせてはいけない。
自分のためにも、新宿の恋が実ることを祈りつつも、池袋はどっと襲ってきた疲労感に任せるままに溜め息を吐いた。
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実は一度書きたかった小話(笑)
池袋は後日、有楽町にちゃんと東西の話を聞きます。「東西のことを教えろ」「は?」から始まって、結局理由を聞かれて、有楽町が考えながら「でも南北が……」とか言われてそう。南北と東西が成立していようが、南北→東西だろうが、なんだか新宿が可哀相な事になる気がするのはなんでだろう(笑)
しかし、この新宿はひどすぎて申し訳ない。私は新宿をなんだと思っているのか(ホントにな)
新宿はきっと東西を落とそうと優しくしてみるんだけど東西に「お前……どうしたんだ?悪いもんでも食ったとか?暑いしなぁ……」と心底気持ち悪そうに言われて逆切れしてるといいです。でも「でも、昔は優しかったもんな。不思議じゃねぇか」と笑顔つきで言われ、黙ってしまうといいと思います。熱暴走(私が)