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こう、何も前後を考えずに思いついた箇所だけをざっくり書いただけのものです。
しかも暗いです、痛いです、暗いです。
大まかに見てシにネタというやつです。
絶対ありえないと思いますが、やったみたかったのでやってみました。ざっくりと。
上記の件を踏まえたうえで、オールOK!という方のみ、続きからどうぞ!
【暖かな光差し込む場所】
どうすることも出来ないことなんて始めからわかっていた。
それでもなんとかしたくて。なのに自分が喚いても怒っても何をしても現実は変わることはなく、ただ無力さをまざまざと見せ付けられただけだった。
本当に最後に。彼とふたりきりでいることが出来ることになったのは、銀座のはからいだった。
何をするでもなく、ただただ東西を抱き締めた。
彼の形、彼の体温、彼の匂い、彼の声。
絶対に何があっても決して忘れないように、強く東西を抱き締め、意味のない言葉を繰り返して彼の声を聞いた。
最後の最期まで。
彼を感じていたいと思った。
そのくらいしか南北に出来ることはなかった。
東西を抱き締めたままで、時間が止まってしまえばいいと思った。
南北の思いを嘲笑うように針が動く。
重みが薄れ、ぬくもりが遠ざかっていくことに気づき、南北は無駄と知りつつも必死で東西を抱き締めた。
けれど彼の身体は次第にぼやけ、薄れていく。
「東西……っ!」
引き止めるように名前を呼び、抱き締める腕に力を込めた。
「やだ……っ! 東西……っ!」
人間の勝手で彼を失うなんて。
絶対いやだ。
ずっと。
ずっと、彼とともにいたかった。
南北の想いを知ってか、東西がふいに微笑んだ。
南北の頬に触れ、東西が顔を近づける。
ほとんどされたことのない、彼からの口づけは僅かな感触だけでぬくもりをともなわないものだった。
「と、うざい……っ」
言葉を持たない南北へと、東西が微笑みを向ける。
彼が唇を動かした。
――ありがとう――
すでに音にならない言葉を、南北は確かに聞いたと思った。
次の瞬間、東西の身体が宙に溶けるように消えた。
重みも、ぬくもりも。
彼を形作っていたすべてが無に帰す。
すでにこの世界のどこにも、彼という存在がないということを南北は自らの行っていた行為のおかげで明確に悟った。
「あ……あぁぁぁぁぁーーーーーっ!」
悲鳴というには痛々しすぎる音が南北の唇から発っせられる。
柔らかな光がカーテンを通して南北へと降り注いだが、もう彼はぬくもりを感じることはなかった。
色も光も、ぬくもりも。
君がいなければ感じられない。