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神楽月のまったり日記。 取扱いジャンルやその他もろもろを萌えの赴くままにつらつらと。 ネタバレ考慮なし注意。
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なんとなく浅草さんとちまい東西の話を書いてみた。
なにしてんの。私。


続きにです~!
捏造ひどいので注意。
ちまい東西と浅草(一号線)の話。



「とーざいくんっ」
「うわぁぁぁっ!?」
 突然後ろから抱き締められ、東西は思いっきり驚いた声を上げた。
「今日も元気だねぇ。いいことだ」
 わたわたと暴れている東西を気にすることなく、抱きついてきた青年がひとりで勝手に納得して頷いている。
 ようやく東西は自分を抱き締めている人が誰か気づいた。
「……一号線さん?」
 なんとか首を動かして振り仰ぐと、優しい茶色の癖っ毛の青年がにかっと笑う。
「あったり!」
 同じ地下鉄だけど所属の違う青年は、満面の笑みで東西を抱き締めたままでわしゃわしゃと東西の頭を撫でた。
「わっ」
 東西は驚いてぎゅっと目をつぶる。
 東西の線路が開業時より延びて、彼と接続する駅が出来てからというもの、一号線は東西を見つけるたびに必ず抱きついて来ては、過剰にスキンシップをしてくるのだ。
 東西としてはどう対応していいものかわからずに、一号線がやめるか、助けてもらうまで、彼のなすがままになっているしかない。
「こら。東西が困っているじゃない」
 柔らかだけれど、決して無視出来ない声がして、一号線も東西もぴたっと動きを止めた。
「銀座せんぱいぃ~」
 顔を前に上げた先に、大好きな先輩のひとりを見つけて、東西は思わず縋るように銀座を見る。
 今日は助けの方が先だったようで、一号線は残念そうに小さく息を吐きながら東西を抱き締めていた手を離した。
 自由になったと同時に東西は走って銀座のもとまで行く。
 柔らかく抱き締められて、慣れた感触に東西はほっと息を吐いた。
「東西を可愛がってくれるのは嬉しいけど、あんまりこの子を困らせないでね」
「悪かったよ。今後、善処するわ」
 やんわりと小首を傾げる銀座に、一号線が苦笑して肩を竦めた。
 東西が銀座に抱きついたまま一号線を見ると、彼は笑って東西に手を振る。
「じゃ、保護者も来ちゃったし、俺行くわ。まったね~東西くん」
 ひらひらと手を振って自身のホームへと帰っていく一号線の後ろ姿からなんとなく目が離せなくて、東西はぼんやりと見つめた。
 なにがどうとかわからないが、違和感を感じた。
「…………彼はね、ひとりぼっちなんだよ」
 静かな声に東西ははっと自分の先輩を見上げる。
 東西が今の言葉の意味を問うように銀座を見つめると、彼は小さく笑みを浮かべて東西を見た。
「東西はひとりじゃないでしょ?」
 銀座の質問に、東西はすぐに頷く。
「はい! 銀座せんぱいと丸ノ内せんぱいと、日比谷せんぱいがいます!」
 勢いよく答えると、銀座がにっこりと笑って東西の頭を撫でた。
「そうだね。僕たちには同じ所属の仲間がいる。いつでもどこかで繋がっているし、帰ればみんながいる」
 銀座の言葉に東西は頷く。
 東西が生まれてからというもの、いつでも必ず誰かが傍にいてくれた。開業してからの数年は営団の誰とも接続がなかったが、それでもいつも誰かが様子を見に来てくれたし、帰ればみんながいた。
「彼はね、ひとりぼっちなんだ。同じ所属の、仲間がいないんだよ」
 静かに告げられた銀座の言葉に、東西は目を見開いて彼を見る。
 同じ地下鉄。けれど、所属が違えば素直に『仲間』とは言えない。『他人』になる。
 帰っても誰もいないことは、どれだけ寂しいだろうか。
 生まれたときからひとりではなかった東西には想像することしか出来なかった。けれど、ひとりぼっちがとても寂しいことだとはわかる。
 無意識にぎゅっと銀座のシャツをつかんで、東西は一号線の去っていった方角を見つめた。
「だからね、東西」
 名前を呼ばれ、東西は銀座を見上げる。
 とても静かに、柔らかに銀座が微笑んで東西の頭を撫でた。
「少しは許してあげてね」
 明確な主語のない言葉だったが、東西には銀座がなんのことを言っているのかわかった。だから、すぐに何度も頷く。
 銀座はそんな東西を見て本当に嬉しそうに微笑むと、さらに優しく東西の頭を撫でた。



 翌日。
 東西は日本橋駅で一号線の姿を見つけると、彼が気づく前に自分から彼に駆け寄った。
「お、東西くん」
 一号線が東西に気づいて振り向ききるのを待たずに、走る勢いのまま彼に抱きつく。
「えっ!? ちょ、どうした!?」
 珍しく慌てる一号線を無視して、ぎゅうぎゅうと彼の腰にしがみついた。
「東西くん?」
 心配げに名前を呼ばれ、そっと肩に手を置かれる。
「どした? なんかあったか?」
 かけられる声に、東西は一号線に抱きついたまま無言で首を横に振った。
 困ったように一号線が息を吐く気配がする。
「東西……」
「一号線さんは……っ!」
 なんて言っていいかわからずに、でもなにか言いたくて東西は一号線の言葉を遮るように叫んだ。
「一号線さんは……っ、僕……っ!」
 寂しくないんですか、なんて聞けないと思った。寂しくないわけがないのだ。ひとりぼっちは絶対に寂しい。
 なのに。
 彼が、どうして笑えるのか。
 東西にはわからなくて、言葉を詰まらせる。
 息を吐く音が聞こえ、すぐに柔らかく頭を叩かれた。
「あんがと」
 聞こえた言葉に、東西は思わず顔を上げる。
 そこには笑顔を浮かべた一号線がいた。
「いいですから……!」
 思わず言葉が口をついて出た。
「一号線さんがいきなり抱きついてきても、僕、平気ですから……っ! だから……っ!」
 もう、昨日のように寂しそうに笑わないでほしい。
 少し驚いたように東西の言葉を聞いていた一号線が、ふいに笑顔を浮かべた。
 嬉しそうな笑顔に、東西は一号線の顔から目が離せなくなる。
「ありがと」
 ぎゅっと抱き締めてくる一号線を、東西も精一杯強く抱き締めた。
 分け合うぬくもりで、少しでも彼が寂しくなくなればいいと思った。

 

「とーざいくんっ」
「うわぁぁぁっ!?」
 突然後ろから抱き締められ、東西は思いっきり驚いた声を上げた。
「お、今日も元気だねぇ」
 後ろから抱きついたままでくすくす笑う相手に、東西は思いっきり溜め息を吐いた。
「そろそろ、いい加減にしろよな! いい大人なんだからよっ」
 口では文句を言いながらも、東西は浅草を振り払おうとはしない。
「ん~? でも、いいって言ったのは東西だぜ?」
「……お前……一体、何年前のことを……」
 思い切り溜め息を吐くと、くすくすと浅草が楽しそうに笑うのが聞こえた。
 まだ東西が小さかった頃からもう何年も経っている。その間に東西は地上まで路線を延ばし、一号線と呼ばれていた浅草にも『仲間』が出来た。浅草たちの名前も変わり、それぞれにカラーが出来たり、東西たちの『仲間』も増えたり、会社が変わったり。
 長い時間はいろんなものを変えていったけれど、彼が日本橋駅で東西を見かけるたびに抱きついてくるのは『あの日』から変わらない。
「まったく……騙された。あの時、もうわかってたんだろ? 都営にも新しく路線出来るって」
 東西が溜め息をつきながらぼやくと、浅草が首を傾げた。
「わかってたよ。でも、まだ会ってなかったし、ひとりはひとりだったから間違いじゃないんだぜ?」
 それに、と楽しそうに浅草が言葉を続ける。
「あいつが出来るってわかっていても、東西は許してくれただろ?」
 確信を込めて言われ、東西はうっと言葉に詰まった。
 浅草の言う通りだとわかるから、なんとなく余計に悔しい。
 それでも、浅草にあれから三人『仲間』が増えて、彼がひとりぼっちじゃなくなって。寂しげに笑うことがなくって、毎日楽しそうだから。
 それはそれでよかったと東西は思うのだ。
「まったく……しょうがねぇな」
 小さく笑って溜め息を吐くと、浅草がとても楽しげに声を上げて笑った。


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いろいろ妄想が酷いです……。
日本橋駅の乗り継ぎ構造に激しく萌えてました。浅草さん出る前から(…)
浅草さんから乗り換えるとき、銀座様と東西の表記が並んでいるのにはぁはぁしたんだ(…)
仲良しさんだといいなぁって。
こんな話でもCPじゃないんだぜ!

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