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ポッキーの日だというのに、まったく関係ない方向にテンションが向かってしまった結果です。
いきなり思いついて、ぐわっとテンションのおもむままに書き散らしました。
ので、ちょっとうろ覚えだったりだとか、する箇所が多くって……。すみません。
とくに最後のくだりは捏造もいいところです……。どっちが先だったんだろ……。
えっと、零.戦と実在の方のお話です。実在の方は名前出してませんが。
その方のことを書いた本が本当に大好きで大好きで。そこから、つい。
出来心、で……。
ので、擬..人.化だの、戦中だの、シニネタ、だの、実在者だの、シリアスだの、といろいろ注意です。
苦手な方はご遠慮下さい。
大丈夫!という方は続きよりどうぞです。
「おい、てめぇ。どういうことだよ」
「どうって。聞いての通りだ」
怒気を隠すことなく呼び止めた零戦に、彼は眉ひとつ動かさずに応じた。
聞いていたのか、と驚くこともうろたえることもないのは零が立ち聞きしていると気づいていたからか。単に肝が据わっているからなのかは判断しづらかった。
「なんで俺をおいていくんだっ! 一緒にやってきただろっ! 一緒に見てきただろっ!! それを!!」
ぐいっと彼の胸倉をつかむ。彼はやはり表情も変えずに零を見つめていた。
「仕方ない。上官命令だ。諦めるしか……」
「ふざけんなっ!!」
冷静な物言いに、かっと零の頭に血が上る。
気づいたときには彼を殴っていた。
半歩よろけた彼に、もう一度殴りかかるも次は簡単に避けられてしまう。
「ふざけんな!! 俺はっ! お前が……っ!! お前とならってっ!!」
戦場へ再進出するさいに、新しい五十二型ではなく二十二型の自分を選んでくれた彼。
乗りなれてるからな、と笑いながらそっと、愛しそうに撫でてくれた。
嬉しかったのに。
こいつとなら一緒に死んでやってもいいと思うくらい。
嬉しかったのに。
何度目か殴りかかったところで、腕をつかまれた。
振り解こうとしても振り解けず、零は悔し紛れに彼を睨みつける。
自分を自由自在に操るこの腕が柔じゃないことなど当の昔に知っていた。
「悪い」
ずっと黙っていた彼の口から出たのは、謝罪。
零の望んだものではなかった。
「俺とお前となら、誰にも落とされねぇ!!」
「ああ。俺もそう思う」
「俺なら!! ぜってぇにお前を死なせやしねぇっ!!」
「ああ、そうだな」
過去の事実で、これからの祈りで。
けれど、自分となら絶対に死なせはしないのに。
今までのように、勝って、勝って。
彼は本土に戻って。
熱海に残してきた可愛い人と一緒になって、故郷の雄大な山々のふもとで家族と幸せな未来を築かなくてはいけないのだ。
そのために。
彼に勝たせるために自分は在るのに。
なのに。
どうして。
「すまない、零。お前を、死地に追いやってしまって」
「そうじゃないっ!! あ、やまるな……っ!」
零が残される理由。それは、足りない特攻機にとの、命令。
必ず死ぬための作戦。万が一にも生き残ることは許されない。
でも零が気にしているのは自分の運命じゃなく。
離れ離れになる彼の、未来。
「馬鹿野郎っ! 馬鹿野郎……っ!!」
視界が霞む。けれどそれは夜だからだ。怒りのあまり目がおかしくなったからに決まってる。それ以外の理由なんて、あるわけない。
「悪い」
「うっせぇ!! 大馬鹿野郎っ!!」
再度謝る相手を怒鳴りつける。
「俺がいないからって、死んだりしたらぜってぇ許さねぇからなっ!!」
約束をしないと離さない、とばかりに強く腕をつかみ返した。
初めて驚いたように目を軽く見開いた彼が、ふっと表情を和らげる。
「ああ。約束だ」
そうやって、零の大好きな笑顔を見せて、頷いてくれたから。
彼ならば、自分じゃない他の『零戦』とでも大丈夫だと思えたから。
自分は死んでも、彼は生き残ってくれると思えたから。
零は満足をして、彼から手を離した。
「嘘、だろ……」
その報告を聞いたとき、零は我が耳を疑った。
あの夜の翌日。彼は他の人たちと一緒に輸送機で戻って行った。零は、そのときすでに特攻機としての装備をしている最中だったため、輸送機へと向かう彼の姿を遠目に見ただけだった。
その、彼の乗った輸送機が。撃墜された、というのだ。
零は目の前が真っ暗になった気がした。
もう二度と会えないとわかっていた。
けれど、それは自分が特攻機としての役目を全うするからであって、彼が逝くからではないはずだったのに。
「嘘だ……っ! 嘘だ嘘だ嘘だ……っ!!」
信じられない。
ありえない。
彼が。
空に消えるだなんて。
ありえない。
あっちゃいけない。
「嘘だ嘘だ嘘だ……っ!!」
無意識に言葉が口を吐いて出ていた。
やはり離れちゃ駄目だったのだ。
ふたりでひとつなのだから、ずっと一緒にいなければいけなかったのだ。
自分と帰途についていれば、彼は死なずにすんだ。
今頃、基地について、「お疲れ」って自分といつものように拳を合わせて労を労いあって。
仲間と笑っていたはずなのだ。
それを。
それを……っ。
「俺が一緒なら、絶対に死なせやしなかったのに……っ!!」
零の悲痛な声が空へと消えていく。
ほどなくして。
出撃の命令が下るのが聞こえた。
自分を気遣わしげに見る、まだ幼さを顔に残した若い搭乗員に「大丈夫だ」と笑みを浮かべて頷く。
こんなときにでも笑える自分に驚いた。
否。
自分が特攻機としてこの地に残されたことに、感謝さえした。
すぐに彼の元へ逝くことが出来る。
出来れば、敵空母でも一隻道連れにして。自分と一緒に散り行く若い搭乗員に手柄を立てさせてやって。
そうすれば、向こうで胸を張って彼に会える。
お前の仇を取ってやったぞ、と。
どうだすげぇだろ。感謝しやがれ、とでも言えば、彼はいつものように笑ってぐしゃぐしゃと頭を撫ぜ回してくるだろう。そうして、笑って小突き合って笑って笑って……。
「今、逝くからな」
空へと小さく呟くと、零は若い搭乗員とともに舞い上がった。
彼のもとへと向かうために。
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前半、本にあった内容からの妄想、後半勝手な妄想です。
ラ.バ..ウ.ルの魔王と恐れられた彼は、敷.島.隊の直掩を務め上げたあと、基地にて特攻機に使いたいから乗っていた零を置いていってくれと言われ、しぶしぶ従います。そして、輸送機で自分の基地に戻る途中に撃墜され、その生を終えます。著者が彼は零に乗ってさえいれば撃墜されなかっただろう、と書いていて、私も大いにそう思うわけで。何度読んでも悔しくて悔しくてしょうがなくって。
そんな思いからの、この話。でも彼が輸送機乗る前に、彼の乗っていた零は特攻用になって並んでいたとかで、どっちが先だったかは調べず書いてしまったんですが、状況的には零が彼が亡くなった報告を聞くことはなかった可能性が高いかな、とも思います。ま、そこは物語的ご都合主義でひとつ。
ちなみに彼の実家のある村はうちの地元からマジ近いです。隣の隣。
もうひとつちなみに、彼が他のエースふたりと敵基地の真上に行って、宙返りをして帰ってきて、あとから敵さんに絶賛されたというエピソードがものっすごい好きです。